Research Project

1. カルボカチオノイド化学

一分子求核置換反応は有機化学分野の初学者が学ぶ基本的反応であり、その活性中間体であるカルボカチオンの特長と課題は広く知られている。とりわけ前駆体から一分子脱離によって生じるカルボカチオンの不安定さの克服が最大の課題であり、長らく解決されていなかった。最近、このカルボカチオンを疑似的な8電子状態のカルボカチオノイドとして安定化する新規な方法論を提唱・実証し、この課題解決の糸口を見いだした。本プロジェクトでは、この化学種の解明と特徴づけを進めるとともに、従来法では困難であった化学変換や新しい機能性分子の合成へと応用することにより、カチオノイド化学を新たな学問分野として確立することを目指している。

2. バイオコンジュゲーション法の開発

タンパク質の特定の位置だけを高収率で化学修飾(バイオコンジュゲーション)する方法は、創薬、生命科学においてますます重要な技術となっている。タンパク質中には、これを構成する天然アミノ酸に由来する特定の限られた種類の官能基が、繰り返し且つ多数存在するため、どれか一つだけを化学及び位置選択的に化学修飾することは極めて難しい。一般に、タンパク質と特異的な親和性を有する低分子化合物を用いた親和標識法が用いられるが、化学修飾位置の選択性は十分ではない。本プロジェクトでは、より高度な分子認識能を示すタンパク質間相互作用に着目し、これを利用した高選択的な新規化学修飾法の開発を目指している。